環球時報 2016711

 

終末高高度防衛ミサイル・システム(THAAD)配備決定はソウルを困難にさせるだけである

趙リシン記者
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米国と南朝鮮は8日、「北朝鮮の弾道ミサイルと大量破壊兵器の開発継続が、同盟に慎重で防衛的な措置を取ることを求めている」として、終末高高度防衛ミサイル・システム(THAAD)を配備することで合意したと発表した。このように大きく注目される敏感な問題に関する異常な決定は、地域の安全と北東アジアの地理的地勢を変えてしまうであろう。

中国とロシアの明白な反対のため、南朝鮮はTHAADを配備するかどうかをあいまいにしてきた。南朝鮮の国民は、以前この問題を巡って分裂していたが、2018年初めに5年の任期を終える朴槿恵大統領は、いわゆる北朝鮮の核の脅威に対応するためとして配備を最終決定した。

南シナ海問題に関する仲裁裁判の結論が出る直前になされたこの共同の配備合意は、米国が中国を圧迫し苛立たせるために取ろうとしている一連の措置の一部であろう。米国への援助を進んでしようとしいまいが、南朝鮮は北朝鮮の核問題に関する中国の扱い方に対する隠された不満と失望を表明する機会をつかんだのかもしれない。

配備の決定を予期していなかったわけではないが、それは中国でより熱い議論を引き起こした。

中国外務省は、配備決定について強い不満と断固たる反対を表明し、米国と南朝鮮に配備をやめることを促した。一部の人々は、中国がすぐにでも南朝鮮に制裁するか罰する報復措置を取ることを提案するに至った。

いずれにせよ、THAADシステムとそれが地域と世界の戦略的バランスを害する可能性について技術的に分析することは無意味である。米国は戦略的優位を確保するために、世界的なミサイル迎撃システムを構築する段階的目標を実現した。また、南朝鮮における国民世論は一時的に、保守主義のエゴと自立追求の欺瞞的スローガンに支配されている。

戦略的には、THAAD配備が歴史的に間違った決定であることはいずれ証明されるであろう。北東アジアの平和と安全保障の視点からして、朴槿恵はパンドラの箱を開けることになろう。

国民世論とシンクタンク、政治的価値と党派、米国の圧力を合わせた南朝鮮の国益は以前よりも曖昧であやふやになっているように見える。ソウルにとって安全保障が最優先であろう。

しかし、中国、米国、ロシアのような核保有国が共に北朝鮮の核の野望に反対して制裁を始めた時、南朝鮮はそれ以前よりも不安を感じなくなったのではなかろうか。南朝鮮は、その動きが中国とロシアの戦略的利益を危うくし、北朝鮮を抑える多国間のメカニズムを破壊することで、より大きな安心を得るのであろうか。

南朝鮮は現在の核均衡を破壊し、米国-日本-南朝鮮の同盟と中国、ロシア、北朝鮮の対立を激化させることで、より安心できるのであろうか。

THAAD配備は、朝鮮半島の非核化や平和と安定に役立たないであろう。反対に、北朝鮮への国際的制裁を中断させ、ピョンヤンを新たな軍事的冒険へと駆り立てるかも知れない。地域的安全保障の悪化は、日本に平和憲法を修正し軍事国家になることを追求する口実を与えることになる。

THAAD配備は、新たな軍備競争を招くであろう。それは、南朝鮮の中国やロシアとの関係を危うくするであろう。その間、中国とロシアは、核兵器の発射準備能力と浸透能力の向上に駆り立てられるだろう。南朝鮮は新冷戦の最前線に立つことになる。

それに応じて、中国は自らの国益と戦略的バランスを守るための行動を取るだろうし、それは中国と南朝鮮の交易関係に悪影響を及ぼすであろう。さらに、THAAD配備は、南朝鮮にさらなる国内分裂と政治的騒ぎを引き起こすであろうし、THAADシステムを配備する場所と費用をめぐって論争が起こるであろう。

朴槿恵の2013年の信頼醸成プロセスと2014年の「統一大当たり」イニシアティヴは、北朝鮮にほとんど受け入れられなかった。ピョンヤンは1月に4度目の核実験を行い、5月に核保有国の地位にあることを宣言し、その一方で朴のセヌリ党は4月に議会の過半数を失った。

このフラストレーションは、南朝鮮が北に敵対するよう仕向けるためTHAAD配備を利用するように朴槿恵を駆り立てている。統一に関する気まぐれな考え方と北朝鮮のミサイルに対する恐怖が、南朝鮮の保守勢力の弱みをさらけ出している。

THAAD配備によって、米国はアジア・太平洋地域におけるリバランス戦略の重要な一歩を成し遂げた。しかし、軍事的主権のない国は、大国の争いの人質になりやすい。

誰も、朴槿恵が配備決定を急ぐとは思っていない。しかし、誰の利益にもならない決定は、南朝鮮に何をもたらすであろうか。(”THAAD deployment decision will only bring trouble to Seoul” by Zhao Lixin, Global Times, July 11,2016