グローバル・リサーチ 315

 

北朝鮮の十字架へのはりつけ・朝鮮民主主義人民共和国の悪魔化・

国連安保理決議・第2270

 

カーラ・ステア 国連本部特派員
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201632日に採択された対朝鮮制裁決議である第2270号は、国連安保理史上もっとも破廉恥で挑発的な決議の一つである。この非合理的で残忍な決議は、朝鮮民主主義人民共和国の経済を窒息させ住民たちに耐え難い苦痛を与えることで、朝鮮が反発するようにさせている。

北朝鮮の悪魔化は、もっとも忌々しい二重基準と脱北者たちの虚偽証言に基づいて行われている。脱北者たちは多額のお金をもらって朝鮮の人権侵害についてセンセイショナルでぞっとするような証言をする。この証言は、後で虚偽であることが明らかになり、証言者たちみずからが証言を撤回した。ニューヨークタイムズ紙や英国のガーディアン紙によってそれが文献的に立証された。

 朝鮮を誹謗中傷し苦しめるために使われる計略と謀略は、イラクの滅亡とサダム・フセインの殺害、最悪のテロを広めた1990年の国連安保理決議・第678号や、リビアを抹殺し国家元首であるカダフィを違法に殺害し、リビアを世界的に激増するテロの培養地に変えた国連安保理決議・第1973号のパターンに類似する。

 国連安保理は20141222日、虚偽が明らかになった「朝鮮の人権状況」に関する報告書をロシアと中国の反対にもかかわらず、議題にのせ朝鮮の人権責任者を国際刑事裁判所に付託するよう促した。しかし、会議後、国連人権担当事務総長補佐であるイバン・シモノビックは、人権調査員会の報告書の基礎として使われた脱北者の証言は、国際刑事裁判所が証拠と認めることのできる基準を充たしていないことを認めた。

 ニューヨークタイムズとガーディアンは、多くの脱北者たちの証言が虚偽であることが明らかになったばかりでなく、国連調査委員会の報告書の基礎となった証言を脱北者自身がその後撤回し、彼らが当初センセイショナルで衝撃的な虚偽陳述に対して1時間につき500ドル以上の報酬を受け取っていたと報じた。

 27か国語に訳された架空の2012年本「キャンプ14からの脱走」の著者シン・ドンヒョク氏は、前国連人権担当責任者のナヴィ・ピレイに会い、彼の虚偽陳述が国連調査委員会の報告書の基礎になった。シン氏はその後、自らの陳述の主要部分を撤回し、彼のおぞましい話を切実に浴していた調査官たちに謝罪した。

ガーディアンは次のように報じた。「シン氏だけではない。李スノクというもう一人の脱北者は、2004年の米下院での証言で、北朝鮮の政治犯収容所に収監されたキリスト教信者たちが拷問され燃えたぎる溶鉱液で殺されたと陳述した。しかし、李氏の証言は、彼女が政治犯でなかったことを直接知っていた、当時ソウルの脱北者協会会長であった張インソク氏によって異議が唱えられた。脱北者のインタビューに対する現金払いは、長い間慣例になっていた。南の統一部関係者も、脱北者が提供する情報の質によってその金額に大きな差があると述べた。話がより衝撃的で感情的であるほど、金額が多くなるということだ。

 2014927日、朝鮮の李スヨン外相は国連総会で次のように演説した。

「朝鮮半島は昨年、一触即発の戦争直前の状態にまで至った。それは、ピョンヤンを『占領』するための米『韓』軍事演習によって始まった。今年1月わが国政府は朝鮮半島相互間の軍事的敵対行為を中断することを提案した。しかし、わが国に対するこの挑発的な軍事演習は4月と8月に強行された。わが国政府は、朝鮮半島と地域全体の平和と安全を深刻に脅かす軍事演習問題を安保理に正式に付託したが安保理は拒否した。現在、わが国政府は経済建設と人民の生活水準向上を重要課題としている。したがって、平和的環境はわれわれが始めた国家経済の発展基調を持続させるために必ず必要である。」

 国連安保理が朝鮮の経済を無力化する決議・第2270号を採択した5日後に、米韓両国は、2か月間の「キーリゾルブ」と「フォール・イーグル」演習を始めた。この演習には、朝鮮政府の指導部を除去するIS式の「斬首作戦」も含まれていた。

 リビアの国家元首カダフィが核兵器プログラムを放棄した後、リビアとその指導者たちがたどった運命を目撃した朝鮮は、どのような状況にあろうとも核プログラムを放棄できないであろう。さらに、誰が核放棄を要求する権利を持っているのかと問いただすべきである。現在、世界で核兵器を保有する国は9ヶ国であり、核を使用した国は米国だけである。

 今年の32日、国連安保理の会議で米国の駐国連大使は次のように言及することによって、深刻な偽善と二重基準を露わにした。

 「北朝鮮を見てみると、折に触れて二つの全体的に異なる現実を見ることができる。一つは、遠く離れた所を攻撃できる大陸間弾道ミサイルの開発に莫大な資源を消費する北朝鮮。もう一つは、5歳未満の児童の25%が慢性的な栄養失調で発育不全に見舞われている北朝鮮である。」

 しかし、米国大使がみすら代表する国の現実についての自覚はあるのだろうか。先週末、米国政府は建造費が莫大にかかる攻撃用潜水艦「ワシントン」号の進水を祝った。米国は年間6120億ドル以上の軍事費を使い全世界150ヶ国に軍隊を駐留させている。

 20151211日の「ファイナンシャル・タイムズ」は、「米国市民の20%が貧困層に属しホームレス問題は国家的な恥」と報じた。国連駐在の米国大使の北朝鮮に関する前述の言及は、米国の経済状況をそのまま物語っているかのようである。

 17000人の米軍と30万人の南朝鮮兵力が、「ピョンヤン占領」と「斬首作戦」で朝鮮の生存を脅かすことが、国連憲章51条にもとづく朝鮮の「固有な自衛権」行使を正当化している一方で、米韓両軍はその威嚇と標的を広め、高高度ミサイル防衛システム(TAAD)の南配備を準備している。

 117日、ニューヨークタイムズは「中国は米国が南朝鮮にTHAADを配備する口実として北朝鮮の核実験を利用していると非難した」と報じた。また、中国社会科学アカデミー・東北アジア研究員の王ジュンシェン博士は「米国はTHAADで中国とロシアを牽制し、戦略的に南朝鮮を中国から引き離そうとしている」と述べた。

 実際に、日本が日本軍「慰安婦」問題に関して南朝鮮に謝罪したのは、米国の圧力が作用した。米国の立場としては、中国を包囲するために、日本と韓国、その他アジアの同盟諸国との連帯を強化しなければならないからである。20142月に米国のカリフォルニアのペンデルトン・キャンプで行われた米日軍事訓練「鉄拳」(Iron Fist)は、今まで実施された米日間の訓練のなかで最大規模であった。この訓練には島嶼を占領し爆破するために投入される軍隊を援護するための空軍と無人機が含まれている。ロシアは西側ではNATO基地によって、東側ではTHAADが配置される南朝鮮によって包囲された。

 北朝鮮が破壊されると、中国は大きな打撃を被りやすくなる。南朝鮮にTAADが配置されれば軍備競争が促進されるであろう。戦争は中国が獲得したすべてとより健全で人道的な世界のための中国モデルを破壊するであろう。

ロシアと中国が何故、国連安保理決議・第2270号に対して拒否権を行使しなかったのかと問いたださざるを得ない。

 朝鮮半島の統一は、多くの南北朝鮮人民の熱望である。国連安保理決議・第2270号の採択は、この熱望を空想にしてしまう。世界の経済構造の劇的変化なしには、戦争と殺戮が起る可能性が高い。もっとも好ましい状況下においても、朝鮮人民が長い間切望してきた統一を達成するのは非常に難しいであろう。しかも、現在の状況は最悪のようである。西側の資本主義世界の経済構造と優先順位の変化は、朝鮮人民の半世紀以上にわたる念願である統一を実現する最も好ましい環境をもたらすことになろう。(”The Crucifixion of North Korea, The Demonization of the DPRK: UN Security Council Resolution 2270”, By Carla Stea, Correspondent at United Nations headquarters, Center for Research on Globalization, March 15, 2016, http://www.globalresearch.ca/)